今回のテーマは、「構造設計の外注の実態」についてです。私たちが日々ヒアリングを通じて見えてきた、構造設計者をとりまく現状と、この課題を解決するための私たちの挑戦についてお話しします。
これは、仕事を依頼する発注者にとっても、構造設計を担う受注者にとっても、無視できない業界全体の問題です。
1. 「人手不足」の現状。いま求められる受発注体制の刷新
構造設計のジョブマッチングサービス「ストラボpartner」が、全国のエンジニア会員および意匠設計事務所などのクライアント会員へ、外注や人手不足に関するヒアリングを行った結果、根深い3つの社会課題が浮き彫りになりました。
① 特定個人への依存(属人化リスク)
多くの建設会社や意匠設計事務所が「特定の個人設計者」への依存で成り立っています。ヒアリングでは、「長年頼んでいた設計者が急病で倒れた」「高齢で廃業した」ことで、突如として数十件の案件が発注先を失い、引き継ぎもできずに工期遅延に陥るケースが確認されました。これは発注者にとって致命的なリスクです。
② 下流工程特有の悩み
構造設計は建築工程の終盤に位置し、上流工程の意匠設計変更や納期短縮の影響を最も受けやすい立場にあります。営業経験に乏しいエンジニアは正当な価格交渉ができず、技術力に見合わない低単価や、無理な短納期を強いられる「下請け構造」の固定化が、人材不足をさらに加速させています。
③ 高度な技術を持つ人材の未活用
国内建設業就業者のうち、保有者はわずか約0.2%ともいわれている「構造設計一級建築士」。この高度な資格を持ちながらも、新規開拓の営業術を知らず、既存の取引先からの減り続ける案件に悩むエンジニアが多数存在しています。
2. ストラボ会員から聞いた「現場のリアルな声」
ストラボがヒアリングした、会員の皆様のリアルな声の一部をご紹介します。この声の一つひとつに、業界の歪みが凝縮されています。
■ エンジニア会員の声(受注者)
- 「設計はできても、営業経験がないため新しい仕事の作り方がわからない」
- 「構造設計一級建築士資格を持っていても、今のツテ(人脈)がなくなれば終わりという恐怖がある」
- 「雇用されている事務所の案件が減り、給料未払いが発生して生活が苦しい」
- 「木造1棟の設計料5万円という超低単価を提示され、構造設計者としての誇りを見失いそうになった」
- 「副業で個人受注を始めたいが、新規販路を開拓するリソースもノウハウもない」
- 「制震・免震など高度な設計技術を勉強中。設計補助からでも手伝いたいが、案件受注のルートが見つけられない」
■ クライアント会員の声(発注者)
- 「長年頼んでいた外注先が倒れ、引き継ぎもできずにパニックになった」
- 「新しい信頼できる外注先を探すために本業がストップし、逆に手間とコストが増えている」
- 「法改正(4号特例縮小)で一部の木造戸建住宅にも構造計算が必要になり、これまでのルートだけでは対応しきれない」
- 「長期優良住宅に対応できる優秀な構造設計者が少なく、納期が遅れがちで困っている」
4号特例の縮小(審査の厳格化)が実施された2025年の法改正は、建物の安全性を高める素晴らしい一歩です。しかし同時に、これまで業界を支えてきた技術者たちのリソースが、すでに限界に達していることを白日の下に晒しました。
これまでのいびつな商慣習を見直し、発注者も受注者も安心して手を取り合える、新しい受発注体制を築く必要があります。
3. ストラボが提案する、エンジニアの価値を最大化する「循環型システム」
この現状に対し、ストラボが展開しているのが「構造設計者成長支援プラットフォーム」です。
私たちは、エンジニアが抱える「営業・キャリア・スキル」の課題を解決し、専門性が正当に評価される仕組みを構築しています。
最大の特徴は、エンジニアのキャリアフェーズに応じて相互に連携し、生涯にわたって伴走し続ける「循環型」の支援体制にあります。
- スキルアップを望むなら: 「ストラボschool」で学び、最新の法改正や高度な技術に対応。
- 経験を積みたい・転職したいなら: 「ストラボnavi」で最適な職場とマッチング。
- 独立してフリーランスになるなら: 「ストラボpartner」で、営業活動をすることなく安定的な案件と収入を確保。
- 事務所の経営に挑むなら: 「ストラボgrowth」で経営課題を解消し、組織を成長させる。
なぜ、このシステムが発注者の「安心」に直結するのか?
構造設計者がどのライフステージにいても成長し続けられる「居場所」があるということは、発注者の皆様にとって「いつでも、最新の技術を持ち、適切な対価で責任を持って稼働してくれる優秀な設計者集団にアクセスできる」ということを意味します。
属人的な1対1の「点」の繋がりから、信頼されたプラットフォームを通じた「面(組織的ネットワーク)」でのサポートへ変える。これこそが、外注先不足に悩む建設業界に対する、ストラボの答えです。
4. 構造設計者が誇りを持って働き、日本の建築を支え続ける未来へ
構造設計は、人と建物の「命」を守る、きわめて重要な仕事です。
それにもかかわらず、エンジニアが疲弊し、適正な対価を得られず、将来に不安を抱えたまま現場を去っていく。このままでは、日本の建築の安全性そのものが崩壊してしまいます。
「ストラボpartner」をはじめとするストラボの各サービスは、エンジニアの皆様が誇りを持って腕を振るえる「伴走者」となり、発注者の皆様に「安心と信頼」を届けます。
受発注のあり方をアップデートし、エンジニアが正当に評価され、結果として日本の建築社会がより強固で安全なものになる。私たちは、そんな未来を皆様とともに創っていきたいと願っています。
もし、ストラボpartnerを利用してみたい、もう少し詳しい話を聞いてみたい、という方は、下記ボタンよりお気軽にお問い合わせください。
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執筆者

小林 玄彦(こばやし はるひこ)
株式会社ストラボ 代表取締役
オリジナル工法の開発やブランディングにも注力し、創業期から同社の規模拡大に貢献。
2024年に株式会社ストラボを創業し、構造設計者のための成長支援プラットフォーム「ストラボ」をローンチ。
構造設計者の社会的価値を最大化することを使命とし、構造設計業界や組織、そこで働く社員が価値観を共有し、他社との差別化を図ることで、構造設計者の価値を誇りをもって伝えられるようサポートしている。